結論:「22時〜2時」は“時計の枠”ではない
「22時〜2時が睡眠のゴールデンタイム」という話は広く知られています。ただ、科学的に押さえるべきポイントは“時間帯”ではなく“睡眠の前半で深い眠りが出ること”です。
仕事や生活の事情で22時に寝られない人も多い。そこでこの記事では、現実の生活に合わせて“睡眠の前半”を取りにいくやり方を、誤解が出ない形でまとめます。
ゴールデンタイム説の正体
睡眠にはリズムがあります。深いノンレム睡眠(徐波睡眠)は、一般に夜の最初のほう(睡眠の前半)に多く出ます。これは睡眠生理の基本として整理されています。
また、成長ホルモンは入眠後まもなく、深いノンレム睡眠と結びついて大きい分泌が起きやすいことが知られています。
本当に狙うべき“2つの軸”
- 軸1:睡眠の前半で深い眠りが出る状態を作る
- 軸2:起床時刻を基準にして、就寝を逆算する(生活に合う形へ)
「何時に寝るか」より、「起きる時刻がぶれるか」の方が、結果的にコンディション差を作りやすい。まずはここを押さえます。
今夜からの調整メニュー(“増やさない版”)
やることを増やすと続きません。次のうちいちばん実行しやすい1つだけ選んでください。
- 光:寝る前は明るい照明と強い画面光を避け、部屋は暗めへ。朝はカーテンを開けて光を入れる
- カフェイン:敏感な人は就寝の5〜6時間前から控える(個人差がある前提で運用)
- アルコール:寝つきは良く感じても、睡眠の質を落とす方向に働くことがあるので就寝前は避ける
- 入浴:湯船なら就寝の1〜2時間前を目安に。深部体温の下がり方が眠りに影響する
- 運動:習慣化が効く。強すぎる運動や就寝直前は避け、続く強度へ
真面目な人が崩れやすいポイント(ここだけは先回り)
よくある失速パターンは「初日に頑張る→反動で間が空く→気まずくて戻れない」です。体調や疲労の波は誰にでもあります。
- しんどい日は:“最低ライン”だけやって寝る(鎖を切らない)
- 取り返さない:翌日は通常運転に戻す(帳尻合わせで崩れやすい)
- 上限を決める:「やり過ぎない」をルール化する(続く形が勝つ)
よくある疑問
Q. 夜勤やシフト勤務でも同じ考え方?
はい。ポイントは“時計の時間”ではなく、あなたの睡眠の前半です。シフト勤務は難易度が上がるので、光の扱い(勤務中は明るく、寝る前は暗く)などの工夫が重要になります。
Q. 早寝がどうしても無理な日は?
「早寝できない日がある」のは普通です。優先度を付けて、起床時刻のブレを小さくする方向に寄せる方が、体感が安定しやすいです。
受診の目安(ここは安全第一)
- 大きないびき、呼吸が止まると言われる
- 十分寝たつもりでも、日中の強い眠気が続く
- 生活習慣を整えても不眠が長引き、日常に支障がある
参考リンク(一次情報)
- NCBI Bookshelf:Sleep Physiology(徐波睡眠が前半に多い等)
- PubMed:Physiology of growth hormone secretion during sleep
- e-ヘルスネット(厚労省):快眠と生活習慣(光・入浴・運動・カフェイン・アルコール)
- NIH/NHLBI:Healthy Sleep Habits(光・カフェイン・アルコール・環境)
※本記事は一般情報であり、診断・治療を目的としません。









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