認知行動療法とは
認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)は、私たちの「考え方(認知)」と「行動」に働きかけることで、感情の状態や日常の問題を改善することを目的とした心理療法です。
うつ病や不安障害、強迫性障害、PTSD、パニック障害、不眠症など、幅広いメンタルヘルスの分野で効果が科学的に認められており、医療機関やカウンセリング現場だけでなく、セルフケアやコーチングにも応用されています。
CBTの基本構造:3つの柱
1. 認知(思考)の把握
出来事そのものではなく、その出来事に対する「考え方」によって感情が変化します。 例:「上司に挨拶を無視された」 →「嫌われたんだ」と考えれば落ち込むが、 →「たまたま気づかなかっただけかも」と捉えれば平常心を保てます。
2. 認知の修正
自分の中にある「非合理的な考え方(自動思考)」に気づき、それを現実的でバランスの取れた思考へと再構築していきます。
3. 行動の修正
感情を変えるには行動も重要です。例えば不安を感じて避けていた場面に段階的に取り組んだり、ポジティブな活動を増やしていくことで、自己効力感が高まります。
認知の歪みの例
- 全か無か思考:失敗=全てダメだと極端に考える
- マイナス化思考:良いことがあっても無視して悪い面だけを見る
- 過度な一般化:一度の失敗で「いつもこうだ」と思い込む
- 結論の飛躍:根拠なしに「嫌われている」と決めつける
CBTワーク:コラム法のやり方
以下のステップに沿って、自分の思考と感情を整理します。
- 出来事:例:上司に挨拶しても返されなかった
- 自動思考:「無視された…嫌われてるかも」
- 感情とその強さ:悲しみ80%、不安70%
- 根拠:前にも目を合わせなかった、最近注意された
- 反証:たまたま忙しかったのかも、他の人にも同じだった
- 新しい考え方:確かなことはわからない。悪意があるとは限らない
- 感情の再評価:悲しみ30%、不安20%
このように思考の見直しをすることで、感情も和らぎます。
CBTはこんな人におすすめ
- ストレスがたまりやすい
- 人の評価が気になりすぎる
- ネガティブな考えにとらわれやすい
- 感情の波が激しくて疲れる
- 論理的に自分を整えたい
まとめ
認知行動療法は、自分の内側にある「考え方」と「行動」を調整することで、感情をコントロールする力を高める心理トレーニングです。ワークシートを活用し、習慣化することで、自己改善・自己理解が深まります。
CBTは一度学べば一生使える「こころのスキル」です。自分で取り組むのが難しい場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。
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